大学評価基準について

Q.3  自己点検・評価において「内部質保証ルーブリック」はどのように活用するのですか。
A.3  「内部質保証ルーブリック」(「ルーブリック」)は、基準Ⅰのテーマ・区分・観点を、「各評価項目」と「その達成度を示すレベル(1~4)」からなるマトリックスで示したものです。評価校は認証評価を受ける際、内部質保証の取組状況について、「ルーブリック」を用いて自己評価を行ってください。(「ルーブリック」自体の提出は不要です。)
 自己評価においては、提出する自己点検・評価報告書を基に該当する項目の到達度(レベル)を判定していきますが、例えば、項目2のLevel 1「□ 学習成果(Student Learning Outcomes)を定めている」については、「学習成果を○○○○○と定めている」等の具体的な内容を報告書に示してはじめてチェックボックスにチェックが入ります。チェック後は、この自己評価により内部質保証の取組状況を再認識するとともに、より高いレベルを目指した取組みに活用してください。
 また、報告書の作成に当たっては、「ルーブリック」の各評価項目の到達度が高くなるよう、学習成果を焦点に据えた向上・充実のための査定が機能し、教育の質保証が図られているかどうかを念頭におき、記述してください。
 なお、「ルーブリック」の取扱い等に関する資料を本協会ウェブサイト(「認証評価関係様式」)に掲載していますので参考にしてください。
Q.4  「学習成果の可視化」とは、具体的にどのようなものを指していますか。
A.4  学習成果とは、学生が獲得すべきこと(何ができるようになるか)を定義し学内外に表明したものであり、実際に学生が一定の学習期間終了時に成果として身に付けたもの(データ)として測定可能でなければなりません。そして、測定可能になった学習成果を大学自身の基準によって判定することが査定(アセスメント)という行為であり、この査定の中で、学習成果が獲得されたこと、あるいは向上していることを測定結果として示すことが「学習成果の可視化」ということになります。学習成果の可視化の方法、現状等について、大学評価基準では「基準Ⅱ 教育課程と学生支援」のテーマ「A教育課程」の区分「基準Ⅱ-A-6 学習成果の獲得状況を量的・質的データを用いて測定する仕組みをもっている。」において点検・評価します。
 量的データとは定量的なデータ、つまり数値データであり、例えば単位の認定状況(学期・学年ごとの成績評価)や4年間の学習成果に基づく学位授与と卒業認定状況等をいいます。(GPA分布、単位取得率、学位取得率、資格試験や国家試験の合格率、ルーブリック分布等。)
 また、質的データとは定性的データであり、大学が定義し学内外に表明した学習成果の事柄についての学生自身や第三者による主観的な意見等(数値化できないもの)であり、学生調査や学生による自己評価、同窓生・雇用者への聞き取り調査での意見等をいいます。(学生の業績の集積(ポートフォリオ)、在学生の授業アンケートでの意見や卒業生又は卒業生の進路・就職先の人事関係者による評価(意見)等。)
 また、定義した学習成果が人間形成に関わる汎用的能力の涵養を表明した場合、その評価の方法には、プレゼンテーションやディスカッションによる口頭発表や実技等の評価も含まれます。さらに、学期を経て学生が「成長した度合い」について統計データを用いて測るような評価は、学習成果の評価として有効な方法と考えます。
Q.5  大学評価基準の基準Ⅱ-A-1の「点検・評価の観点」には「卒業認定・学位授与の方針は、社会的・国際的に通用性がある。」とありますが、具体的にどの程度の内容があれば「国際的に通用するもの」と考えることができますか。
A.5  各大学が自らの建学の精神、教育理念・目標に基づき、学習成果及び卒業認定・学位授与の方針を明確に表明し、またその方針の下、学生が獲得すべき学習成果をどのように具現化し、かつ査定しているのか、という教育研究活動を具体的に示すことが、社会的・国際的な通用性につながると考えます。各大学が自らの教育について客観的に見直し、それを公表していくことが大切です。
Q.6  学習成果の汎用的な能力に関する客観的なスケール(尺度)は示し難く、また、その結果の妥当性、客観性を証明できるツール(測定方法等)の開発も大変難しいと思われます。認証評価において、このツールは未熟で不十分なため「否」とする、といった判断がなされることはありますか。
A.6  認証評価において重要なのは、学習成果を明確化し、その獲得に向けて測定方法を開発し、測定結果の評価に基づく改善を行うこと、つまり、PDCAを含んだ内部質保証が機能しているかどうかであり、更なる向上・充実のための助言を行うことはあっても、測定方法それ自体の「良し悪し」の評価だけで合否判定を行うということはありません。
Q.7  中央教育審議会の答申(平成20年12月24日)「学士課程教育の構築に向けて」には「学習成果」とありますが、平成24年8月28日答申「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」においては「学修成果」が用いられています。自己点検・評価に当たって表記の統一・使い分けなどが必要ですか。
A.7  本協会においては、平成20年12月の中教審答申の内容を踏まえるとともに、当時、米国において行われていた“Student Learning Outcomes”を中心とした大学評価という考えも取り入れ、その和訳としての「学習成果」を評価基準において用いることとしました。
 大学評価基準における「学習成果」の表記は、各大学が学内の自己点検・評価等において「学修成果」を用いることを制限するものではありませんが、認証評価時に提出する自己点検・評価報告書において大学評価基準の「区分」や「観点」を示す場合には「学習成果」を使用してください。
Q.8  大学評価基準の区分「基準Ⅱ-A-2」の点検・評価の観点(2)-③には「単位の実質化を図り、卒業の要件として学生が修得すべき単位数について、年間又は学期において履修できる単位数の上限設定等を行っている。」とありますが、このCAP制を定めるにあたって留意すべき点はありますか。
A.8
 「卒業の要件として学生が修得すべき単位数について、年間又は学期において履修できる単位数の上限を定める」、いわゆるCAP制については、学則に定めることを想定しています。ただし、学則に定める場合、①学則にCAP制に関する根拠規定があり、その委任を受けた履修規程や履修要項等に具体の単位数の上限を規程化している場合や、②学則の「履修の方法」や「単位の算定」等の条項において、当該事項の具体の方法や必要な事項については別に定める旨の委任規定を設け、履修規程や履修要項等に規定している場合も、「学則に定める」ことに含みます。

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